アジアキャットクラブで使用されるドメスティックキャット(遺伝子プール拡張登録猫)についての解説です

ドメスティックキャットとは

野生の猫に対する飼い猫(イエネコ)を指す言葉です。Domestic cat, House cat, Felis domesticus, Felis catusなどいくつかの表現があります。
しかし、ドメスティックキャットという言葉はその国の土着の猫という意味も持つこともあり、広義では地域猫や野良猫(特定の飼い主がいないイエネコ)を含むこともあるようです。

アジアキャットクラブではいくつかの品種の交配においてドメスティックキャットとの交配が認められていますが、このドメスティックキャットとは

「特定の飼い主に飼われている雑種の(血統書団体に管理されていない)猫」

を示す言葉として使用しています。

ドメスティックキャットとの交配を認める理由について

近年に確立された若い品種はその個体数が少ないため、純血種同士のみの掛け合わせでは遺伝子プールが極端に減少する可能性があります。ドメスティックキャットとの交配により遺伝子プールを拡張することができ、これにより奇形発生の減少が期待できます。また、その猫のスタンダードに近いドメスティックキャットと交配することにより、スタンダードに近づける効果も同時に期待できます。

上記理由により、アジアキャットクラブではその猫のスタンダードに近いタイプを持つ猫と交配することを推奨しています。

ただし、特定の品種の特徴を強く持つ猫(スコティッシュの折れ耳など)をドメスティックキャットとして用いることは禁止となっています。

遺伝子プールについて

遺伝子プールとは相互に繁殖可能な個体が作る集団が持つ遺伝子の総体を指す言葉です。猫の場合、広義ではイエネコと交配可能な近縁種をすべて含むことになりますが、血統書団体がこの言葉を使う場合は特定の品種に限定することがほとんどです。

純血種の品種では特徴を確立するために選択的交配が行われます。その特徴はスタンダードに沿うもので品種がもつ遺伝的な独自性を保つためですが、適切な特徴をもつ繁殖猫が少ない場合はある程度の近親交配が行われることもあり、これにより遺伝子プールが減少していきます。

遺伝子プールが減少しすぎると遺伝子の多様性も減少し、特徴が極端に出過ぎた結果健康に影響がでたり、十分な遺伝子プールでは発現しにくい潜性(劣勢)遺伝する病気が現れたりなどの問題が起きる可能性が高くなります。

遺伝子プール拡張登録猫

ドメスティックキャットを交配に用いる際には、その交配と血統の管理をするために「遺伝子プール拡張登録」を行う必要があります。
アジアキャットクラブでは遺伝子プール拡張登録が行われたドメスティックキャットを「遺伝子プール拡張登録猫」と呼んでおり、異種交配可能猫種一覧などもこの名称で記載されています。

遺伝子プール拡張登録(ドメスティックキャットの登録)異種交配可能猫種一覧